【メンターガイド】承認欲求の本質と充足法、自己顕示欲とのちがいと活用法
承認欲求は、簡単に言うと『人からの評価や賞賛を求める心の動き』それを「承認欲求」と呼びます。
マネジメント層やメンターといったポジションにおいて、承認欲求をしっかり理解し、上手く活用してコントロールしていくスキルは必須となってきます。
今回は、その具体的な定義や承認欲求が高まる特性などについて詳細に探求していきます。
- セクション1: 承認欲求とは何か?
- セクション2: 承認欲求が高まる要因
- セクション3: 承認欲求と自己顕示欲の違い
- セクション4: 承認欲求と自己顕示欲のメリットとデメリット
- セクション5: 承認欲求の満たし方(3つの承認)
- セクション6: メンターとしての役割
- まとめ
セクション1: 承認欲求とは何か?
承認欲求とは、「他人から認められたい」「自分を価値ある存在として認めたい」という欲求のことで、この欲求は自尊心や他人を尊重する気持ちとも関連しています。
承認欲求が強いと聞くと、ちょっとネガティブなイメージがあるかもしれません。
しかし、この欲求はモチベーションや自己肯定感の向上させるといった側面もあります。
- 定義の理解:承認欲求とは、他人から認められることを求める心の動きで、人間の心理的な欲求の一つです。
- 社会的な存在:人間は社会的な生き物であり、自分自身が集団の一部として認知され、承認されることを望む生き物です。
- 常在性:そのため、人は常に他人からの評価や承認を求める欲求、つまり承認欲求を持っています。
誰もが持つ共通の欲求としての承認欲求
社会生活の中では、他人からの理解と承認を求める欲求が普遍的に存在します。
これは子供から大人まで、誰しもが共有する感情です。
学校や仕事の場でも、他人に理解され認められたいと思うのは普通のことなのです。
たとえば、子供が「見て!」「褒めて!」と大人に繰り返しアピールするのは、親や先生から「すごいね!」と褒めてもらいたいからなんです。
親や教師からの肯定的な評価を求める、自分の価値を確認したいという欲求から来るものなのです。
新橋で愚痴をこぼし合っているサラリーマンも「君も大変だね」「頑張ってるんだね」とお互い認め合って明日への活力に変えているのも同じ承認欲求からきているものなのです。
セクション2: 承認欲求が高まる要因
- 幼少期の経験:承認欲求は、幼少期の経験や育った環境により形成されます。
- 他人との関係性:他人との関係性や生活状況の変化、ストレスや孤独感、自己否定感、自己効力感の低下など、さまざまな要因により承認欲求は高まります。
幼少期の経験
承認欲求は、幼少期の経験や育った環境により形成されます。
例えば、幼少期に両親や周囲から十分な承認を得られなかった人は、大人になってもその欠落感を補うために承認欲求が強くなる傾向にあるとされています。
他人との関係性
他人との関係性や生活状況の変化、ストレスや孤独感、自己否定感、自己効力感の低下など、さまざまな要因により承認欲求は高まります。
これらの要素が組み合わさることで、承認欲求は一層強まることがあります。
また、スマホ時代といわれる現代において、子供から大人までがSNSを使用します。
共通の趣味や同じ目的の下に集まる人たちとつながり、自分と同じように考えている人や、自分の悩みに共感してくれる人がいることで、自分の存在が認められていると実感します。
さらにその中で個人の発言にコメントやリアクションが付く時代で、『影響力がある』と他者から評価されたい承認欲求に依存しやすくなるため、SNS上での評価に振り回されやすくなるのです。
セクション3: 承認欲求と自己顕示欲の違い
- 自己顕示欲の定義:自己顕示欲は、他人に自分の能力や成果を見せたい、誇示したいという欲求です。
- 承認欲求の再確認:一方、承認欲求は他人からの評価や承認を求める欲求です。
- 概念の違いの理解:これらの違いを理解することは、自分自身や他人の行動を理解し、適切に対応するために重要です。
自己顕示欲の定義
自己顕示欲は、他人に自分の能力や成果を見せたい、誇示したいという欲求です。
これは自己表現の一形態であり、一定のスキルや才能を持っていることを他人に示すための欲求です。
承認欲求の再確認
一方、承認欲求は他人からの評価や承認を求める欲求です。
これは自己の価値を他人に認めてもらうことで、自己存在を確認するための欲求です。
概念の違いの理解
これらの違いを理解することは、自分自身や他人の行動を理解し、適切に対応するために重要です。
また、自己顕示欲と承認欲求は互いに影響を与え合い、一方が高まると他方も高まることがあります。
セクション4: 承認欲求と自己顕示欲のメリットとデメリット
- メリット:承認欲求と自己顕示欲が適度であれば、自己肯定感の向上、モチベーションの維持、自己表現の機会の提供などのメリットをもたらします。
- デメリット:しかし、これらの欲求が強すぎると、人間関係のトラブル、自己中心的な行動、不健康な競争心の発生などのデメリットもあります。
メリット(適度な欲求)
承認欲求と自己顕示欲が適度であれば、自己肯定感の向上、モチベーションの維持、自己表現の機会の提供などのメリットをもたらします。
これは自己の成長や向上心の源泉となります。
- モチベーションが高い
- 仕事の成果が出やすい
- 自己肯定感が高まりやすい
①モチベーションが高い
承認欲求が強い人は、人から褒められたい、認められたいという思いが人一倍強いので、結果を残そうと無我夢中で打ち込めます。
上司から自分の仕事ぶりを高く評価されれば、「もっと頑張ろう」とさらにモチベーションが高まります。
親や教師からテストの点数について褒められたら、次のテストはもっといい点数を取ろうと気合いが入るでしょう。
結果を出すという目的のために、モチベーションを高く維持できるのです。
②仕事の成果が出やすい
承認欲求が強い人は、他者に認められたいという思考が強いため、常に仕事に真剣に取り組みます。
その結果、ノルマ達成や成績アップなどの成果をもたらし、会社においてどんどん昇格し収入も上がっていきます。
また他者から認められる(承認される)ことで、「上司や同僚が自分の仕事をしっかりと見てくれている」「適切に評価してくれている」という安心感が得られます。
③自己肯定感が高まりやすい
他者から自分を認めてもらえたら自己肯定感が高まります。
承認欲求から起きた行動で自分の価値や存在意義を受け入れられることにより自己肯定感が高まれば、自信につながります。
承認欲求が強い人には『自分に自信がない』という特徴を持ちますが、そうした人はまず「自分が自分自身を肯定する」ように意識しましょう。
デメリット(強すぎる欲求)
これらの欲求が強すぎると、人間関係のトラブル、自己中心的な行動、不健康な競争心の発生などのデメリットもあります。
これは周囲から煙たがれたり、扱いにくいなどと思われて人間関係がうまくいかないなど、他人との関係性を損なう可能性もあるため、適度な欲求の維持が重要となります。
- 自己肯定感やモチベーションが下がりやすい
- 人間関係が悪化する場合も
- 頼まれごとを断れない(オーバーワーク)
①自己肯定感やモチベーションが下がりやすい
周囲に認められるために必死に頑張っているのに「誰も自分の努力を評価してくれない」「自分を認めてくれない」と感じた場合、承認欲求が強い人はどんどんやる気を失ってしまいます。
誰かに承認され続けないと、モチベーションは下がっていく一方です。
褒めて伸びる子とプレッシャーを与えて伸びる子のように、こちらも見極めが肝心です。
管理職は、まめな声掛けや定期的に面談したりと、評価を怠らないようにしましょう。
②人間関係が悪化することも
自己承認が強い人は、人に認めてもらいたいために見栄を張ったり、必要以上に自慢話をしたりします。
それが原因で煙たがられてしまい、周囲の人たちから付き合いにくい人間だと判断されてしまいやすいのです。
友人や知人、取引先や顧客との人間関係も円滑にいかず、仕事に影響が出る可能性も高まります。
③頼まれごとを断れない
承認欲求が強い人は、頼まれごとを断らないようにすれば他者から認められると思ってしまう人が多いです。
しかし、依頼をすべて受けたからといって他者から承認されるわけではありません。
ただの都合のいい人にならないよう、強い意志をもって断らせることも重要です。
何でもかんでも受け入れて、自分自身を追い込んでオーバーワークになってしまい、心が病んでしまうでしょう。
セクション5: 承認欲求の満たし方(3つの承認)
- 存在承認:その人の存在そのものを承認すること。
- 行動承認:その人の行動や努力を承認すること。
- 結果承認:その人が達成した結果を承認すること。
存在承認
その人の存在そのものを承認すること。
その人がいること、一緒にいることを大切に感じていると伝えることで、存在そのものが認められるという安心感を提供します。
- 意見を求める
- 目を見て話す
- 相手を名前を呼ぶ
- 挨拶をする
「いつも気にかけているよ」という意図が相手に伝われば、承認欲求を満たすことにつながるのです。
行動承認
その人が努力しているプロセスを承認すること。
結果だけでなく、取り組んできた過程や努力を評価し認めることで、自己効力感を育てます。
人は自分の行動や努力を褒められるとやる気が出るもの。
行動承認は、人のモチベーションを上げるのに効果が高いです。
結果承認
その人の達成した結果を承認すること。
達成感や成功体験を共有し、その成功を祝うことで自己効果感や自己肯定感を高めます。
「実際にできた」「達成した」結果にもとづき褒めて承認すること。
たとえば「今月の売り上げがよかった」「目標のノルマを達成できた」という場合、その結果を評価し褒めて承認します。
しかし、結果承認はプロセスではなく結果を褒めるため「次回も結果を出せないと認められない」と思いやすいので見極めが肝心です。
セクション6: メンターとしての役割
- 対話を通じた理解:メンターとして、承認欲求や自己顕示欲を理解するためには、メンティーとの対話が重要です。
- 適度な承認:また、メンターとしては、メンティーの承認欲求を適度に満たすことも大切です。
- 自己顕示欲のコントロール:一方、自己顕示欲が強すぎる場合は、適切な指導やアドバイスが必要です。
対話を通じた理解
メンターとして、承認欲求や自己顕示欲を理解するためには、メンティーとの対話が重要です。
彼らの気持ちや欲求、行動の背後にある意図を理解することで、より適切な支援やアドバイスを提供できます。
適度な承認
メンターとしては、メンティーの承認欲求を適度に満たすことも大切です。
存在承認、プロセス承認、結果承認をバランス良く提供し、彼らの自己肯定感や自己効果感を育てていくことが求められます。
自己顕示欲のコントロール
自己顕示欲が強すぎる場合は、適切な指導やアドバイスを通じて、メンティーが自己中心的な行動や不健康な競争心をコントロールできるようにサポートします。
まとめ
承認欲求と自己顕示欲は、私たちが社会と接する際の重要な要素です。
- 特徴:承認欲求が強い人は「自信がない」「周囲からの評価が気になる」「目立ちたがり屋」「さみしがり屋」「人の話を聞かない」「自分の自慢話が多い」などの特徴を持つことが多いです。
- メリット:しかし、それは必ずしも悪いことではありません。自己啓発への欲求が強く、向上心があり、何事にも一生懸命取り組む姿勢が見られることもあります。
これらの欲求を理解し、適切に対処することは、より良い人間関係を築くため、また自己成長を促進するために重要です。
メンターや管理職としては、これらの欲求を理解し、適切な支援やガイダンスを提供することで、メンティーの成長をサポートすることが期待されます。
このガイドを通じて、あなたのメンタリング能力を向上させましょう!