【トップスタイリストとは】美容師のランクアップとキャリアプラン
美容室で働くスタイリストには、さまざまな呼び方やランクが存在しますが、それぞれがどう違うのか、説明するのは意外と難しいですよね?
「トップスタイリスト」とは、高い技術力や売上を持つ、サロンを代表するスタイリストに与えられる称号です。美容師として誰もが目標とするポジションであり、一般企業でいえば「課長」や「部長」に相当する役割と言えるでしょう。
美容師とひとくくりにされがちですが、実は多くのサロンでは役職としてランク付けがされています。それぞれのランクには任される仕事内容や、それに見合った給与体系などの違いがあり、キャリアの進み方に大きな影響を与えます。
今回は、美容師のランクについて、具体的な違いや役割、仕事内容を詳しく解説します。キャリアアップを目指すことは、美容師としての人生を豊かにするために重要な要素。ランクアップの方法やインセンティブとの関係についても併せてご紹介しますので、美容師として成功を目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。
- トップスタイリストとは社内において「高い技術力を持つ」美容師
- 美容師のランクとインセンティブ(歩合)
- トップスタイリストになるには|6つのポイント
- トップスタイリスト以降のキャリア|多様な選択肢と可能性
- まとめ
トップスタイリストとは社内において「高い技術力を持つ」美容師
トップスタイリストは、美容室内で高い技術力を持つ美容師です。
数多くのお客様から指名され、高い売り上げを維持し、サロン全体の売り上げを維持する屋台骨のような存在です。
トップスタイリストは、他のスタイリストの育成や技術指導も担当し、サロンの技術向上に貢献します。
そのため、技術力だけでなく、マネジメント能力や指導力も求められるポジションです。
指名料や売上に応じた歩合制の報酬が高いため、高収入を得ることが可能です。
では、トップスタイリストとその他の美容師との役割や仕事内容の違いについて詳しく見ていきましょう。
美容師のランク付けによる役割・仕事内容・年収の違い
美容師は、経験や技術力によってランク付けがされており、各ランクに応じて役割や仕事内容が異なります。
一般的な美容室でのランクは次のようになっていますが、サロンによっては「ジュニアスタイリスト」「トップスタイリスト」など、さらに細かく区分されることもあります。
また、サロンによってはランク名や役割の意味合いに違いがあり、例えば「ディレクター」はサロンのオーナークラス「マネージャー」はマネージャー・店長クラスの美容師を指すことが多いです。
このように、任される仕事内容や報酬に大きな違いがあります。
トップスタイリストとスタイリストの違い
トップスタイリストとスタイリストの大きな違いは、技術力や接客スキル、マネジメント能力だけでなく、施術の範囲にもあります。
トップスタイリストは、スタイリストと比べてより多くの指名客を持ち、特にカットを中心とした施術をメインに担当します。
トップスタイリストは、アシスタントにカラーの配合や塗り方を指示し、複数の顧客を同時に進行させながらサロンの時間を効率的に活用します。
このように、限られた時間内で多くの顧客を対応し、サロンの売上を最大化することがトップスタイリストの重要な役割です。
また、その高い技術と効率性により、サロン全体の収益にも大きく貢献しています。
美容師のランクとインセンティブ(歩合)
美容師の収入は、そのランクとインセンティブ(歩合)制度に大きく影響を受けます。
多くの美容室では、基本給に加え、売上や指名数に応じた歩合・インセンティブ制度が取り入れられており、技術や営業成績に応じて報酬が増える仕組みになっています。
この制度により、美容師は自分の実力や努力に応じた報酬を得ることができ、高い能力や売上を持つ美容師には、その成果が大きく還元されます。
特に、トップスタイリストやディレクターなど上位のランクにいる美容師は、多くのお客様から指名を受け、高額なインセンティブ(歩合)を手にすることが可能です。
インセンティブ(歩合)とモチベーションの関係
このインセンティブ(歩合)制度は、成果を出した美容師に大きな報酬が与えられる実力主義の仕組みともいえます。
美容師としての売上や顧客数が増えるほど、インセンティブ(歩合)も比例して増加するため、自分の仕事に対するやりがいやモチベーションを感じやすいのが特徴です。
特に、指名料やリピート率が高い美容師ほど、報酬額も高くなるため、自らの技術や接客力を高めることが収入アップに直結するという明確な目標が生まれます。
自分の頑張りが直接収入に反映されるこの仕組みは、美容師としてのキャリアにおける大きなやりがいのひとつでしょう。
トップスタイリスト料金とは?
トップスタイリストは、他のスタイリストよりも施術料金が高めに設定されています。
これは、高度な技術とサービスを提供するためですが、目の肥えた富裕層のお客様の多くは「上手な人、センスのいい人に切ってもらいたい」という理由で、トップスタイリストを指名する傾向があります。
そのため、トップスタイリストは指名料も高くなり、客単価も上がるので、結果として多くの売り上げに直結するのが特徴です。
トップスタイリストになるには|6つのポイント
高額な売り上げを維持し、トップスタイリストのポジションに到達するためには、日々の努力とランクアップが必要です。
そのために意識して取り組むべきポイントを6つにまとめました。
- 高い技術力の習得
- 顧客満足度を追求
- コミュニケーション力
- 自己ブランディング
- サロン内での信頼を得る
- 継続的に学ぶ姿勢
これらを実践することで、顧客からの信頼やサロン内での評価を高め、トップスタイリストへの道を切り開くことができます。
1. 高い技術力の習得
トップスタイリストになるための最も重要な要素は、高い技術力とセンスです。
会社のカリキュラムに合格しているスタイリストですから、顧客は「できて当然」を期待しています。
そのため、カット、カラー、パーマなどあらゆる施術を顧客の望む形で施術する必要があります。
さらに、情報社会において、顧客のセンスも水準が高くなっていませんか?
美容師自身がその流れに対応するためにも、トレンドに敏感であり、最新のスタイルや技術や商材を素早く取り入れることも求められます。
ものすごいスピードで常に進化する美容業界に対応するための技術力とセンスが不可欠です。
2. 顧客満足度を追求
顧客満足度は、トップスタイリストになるための重要な要素です。
お客様のニーズをカウンセリングでしっかりとヒアリングし、それに応えるスタイルを提供することで、顧客の満足度を向上させ、リピーターや指名客を増やすことができます。
分かりやすいところでいうと口コミですね。
お客様に満足してもらうことで、自分自身の価値も上がり、売上や指名料の向上に直結します。
3. コミュニケーション力
美容師にとって技術力はもちろん重要ですが、サービス業・接客業ですからコミュニケーション力も欠かせません。
お客様との短い会話を通じて、要望を正確に理解し、安心してリラックスできる空間を提供することも美容師に求められます。
お客様との信頼関係を築くことでリピートに繋がり、より多くの指名を獲得し、長期的な関係を構築することができます。
4. 自己ブランディング
他のスタイリストとの差別化を図るためには、自己ブランディングも重要なスキルです。
大勢の美容師がいる中で、自分の得意なスタイルや技術を強みにし、それらを活かしてブランディングをし、独自のスタイリスト像を確立することが求められます。
SNSやメディアを活用して、自身のスタイルやセンスを発信することで、自分のファンを増やしましょう。
ネット社会で自身のメディアが持てる時代ですから、自分自身を潜在顧客へアピールすることも、トップスタイリストへの近道です。
5. サロン内での信頼を得る
トップスタイリストは、サロン内での信頼を得ることも非常に重要です。
スタイリスト時は予約枠が少なく、自身だけでも回すことができますが、トップスタイリストは多くの予約枠を開放しサロンの売り上げを上げなければなりません。
そのため、他のスタッフやアシスタントのサポートが不可欠になります。
練習を見てくれない、忙しいとイライラしてアシスタントに怖がられるスタイリストを手伝いたいと思いますか?
スタイリストまでは自分の事だけ考えていれば良いですが、トップスタイリストから上はサロン全体の運営を支える役割を担うため、マネジメントスキルとリーダーシップが必要になってきます。
6. 継続的に学ぶ姿勢
美容業界は常に進化し続けているため、トップスタイリストとして成功するには継続的な学びが欠かせません。
新しい技術や商材、トレンドに対応できなければ、柔軟でトレンドに敏感な若い世代が次々と台頭してくる美容業界の中で、あなたは取り残されてしまうでしょう。
セミナーや勉強会に参加したり、最新の技術を学び続けることで、常にお客様に新しいスタイルやアイデアを提供することができるよう常に学び続けましょう。
トップスタイリスト以降のキャリア|多様な選択肢と可能性
トップスタイリストになった後、どのようなキャリアや働き方を目指すかを考えておくことは、美容師として生涯にわたって充実したキャリアを築くために非常に重要です。
トップスタイリストとしての経験を活かし、次のステップに進むためにはさまざまな選択肢が用意されています。
自分に合ったキャリアビジョンを見つけることで、安心して美容師を楽しむことができるでしょう。
美容師のキャリアビジョンとして以下に、トップスタイリストとして活躍した後の主要なキャリアの選択肢をいくつか紹介します。
- ディレクター・マネージャー
- 独立してサロンオーナーになる
- ヘアメイク
- セミナー講師
- ブランドアンバサダーやプロダクト開発
- フリーランス美容師
1. ディレクター・マネージャー
サロン全体の運営や方針決定に携わるポジションです。
技術力だけでなく、経営の視点からサロンの成長を支える役割を担います。
スタッフの管理、顧客満足度向上、店舗ブランディングなど、幅広い業務を担当するため、経営の知識やマネジメントスキルが求められます。
サロン全体の方向性を決め、経営視点でリーダーシップを発揮することが必要です。
2. 独立してサロンオーナーになる
自分のサロンを持つことは、多くの美容師にとって目標の一つです。
オーナースタイリストとして、自ら施術を行う一方で、サロンの経営を行います。
自身のコンセプトでサロンを作り上げ『出店から口座開設、集客、スタッフ雇用・管理、経費管理、マーケティングなど、すべての面で責任を持つ必要があります。
独立後に知っておきたいインボイス対策についてはこちら→
成功すれば、自由度の高い働き方が可能になり、自分の理想のサロンを実現できます。
3. ヘアメイク
ファッション業界やエンタメ業界の裏方で活躍するヘアメイクアーティストとしての道もあります。
モデルやタレントのヘアメイクを担当し、撮影現場やショーのバックステージでの仕事が増えますが、あくまでも裏方の一人です。
企画や台本があって、それに沿ってキャスティングされたモデルやタレントを、クライアントの要望に合わせて時間内にヘアメイクする。要望に答えられなければ次から仕事がもらえないシビアな世界です。
そんな世界で揉まれながら生きてきたので、ヘアメイクで活躍し続けている人は、時間に厳しく礼儀もきちんとしていて、コミュニケーション能力も高い人が多い印象です。
また、サロンワークとは異なり、クリエイティブなスタイルを作り上げるため、これから流行るトレンドを常にキャッチし、時間やスケジュール管理に対する柔軟な対応力も求められます。
4. セミナー講師
セミナーや技術講習を通じて、自分の技術を他の美容師に教える講師としてのキャリアです。
主に美容師として活躍している人が、行うケースが多いです。
技術や知識を分かりやすく教える能力が求められるため、人前で論理的に話すスキルを身につける必要があります。美容業界の技術向上に貢献しながら、自らの知識や経験を次世代の美容師に伝えることができますが、自らもトレンドを学びつつアップデートしていかなければセミナー需要は得られないため、第一線で活躍し続けなければなりません。
5. ブランドアンバサダーやプロダクト開発
美容関連のブランドと提携し、ブランドアンバサダーや製品開発に携わるキャリアもあります。
シャンプーやスタイリング剤などの開発に関わることで、自分の知見や影響力を業界に還元しつつ、関連ブランドの認知を広めることができます。
プロダクト開発は、メーカーとのタイアップがメインとなるので、主に使用感やお客様の声といった経験で得たリアルな知見、ケミカル知識とマーケティングセンスが重要なポイントとなります。
6. フリーランス美容師
特定のサロンに所属せず、フリーランス美容師として自由に働くスタイルです。
好きな時間や場所で働ける一方で、顧客管理や集客、保険や税金の支払いや確定申告といった事務作業も自分で行う必要があります。
自由度が高い反面、一生フリーランス美容師でいる人はいないと思いますので、中長期的なビジョンとビジネススキルやマーケティング力といった、経営者的な視点で自己管理ができないと将来詰みます。
フリーランスでも加入できる保険はこちら→
トップスタイリスト以降のキャリアと新しいスキルの習得
トップスタイリスト以降のキャリアには、技術の幅をさらに広げるか、経営や教育、クリエイティブ分野で新しいスキルを磨く道が開かれています。
美容師としての技術を極めるだけでなく、経営者や教育者としてのスキルを高めることで、自分自身のキャリアを着実かつ充実させることが可能です。
まとめ
美容師のランクは技術力やポジションを明確に示すものであり、その階段を一つずつ上がっていくことで、自分の目標に近づき、収入も上がっていきます。
また、美容師としてのやりがいやモチベーションの一番の源にもなります。
役職は美容師にとって最も強力な武器であり、技術を磨き続けることでさらなる高みへと進むことができます。
自分の可能性を広げながらトップを目指すことで、きっと新しい景色が見えてくるでしょう。