【あとで後悔!?】フリーランス美容師は失業保険をもらえる?雇用保険に加入できるケースも解説!
自由な働き方が魅力で人気のフリーランス美容師。
憧れる美容師の方も多いと思いますが、しっかり保険や税金についてを学んでおかないと、正社員とは異なり、ご自身で適切な手続きをおこなう必要があります。
ですが、フリーランス美容師になると雇用保険をはじめ、社会保険がどのような扱いになるのか知らない方も多いのではないでしょうか?
今回はフリーランス美容師でも『雇用保険に加入できるか、失業保険を受給できるか』などを解説していきます。
- 雇用保険とは
- フリーランス美容師本人は雇用保険に加入できない
- フリーランス美容師本人が雇用保険に加入できるケースもある
- フリーランス美容師でもスタッフを雇用したら雇用保険の加入が必要
- 美容室退職後にフリーランス美容師になる場合の失業手当は?
- 雇用保険の代わりとなるフリーランス向け補償制度
- まとめ
雇用保険とは
「雇用保険」とは、労働者が失業した場合でも安心して暮らせるように、給付金の支給や就職活動の支援などをおこなう保険制度です。
雇用保険に加入すると、失業や退職時に「失業保険」が支給されることが特徴です。
雇用保険は失業時の一時的な生活の安定を保証し、早期の再就職を促進することを目的としています。 後述する加入条件を満たす人は、原則として雇用保険への加入が義務付けられます。
雇用保険の加入条件
雇用保険には以下の3つの加入条件が定められており、これに該当する従業員は加入義務が発生します。
- 勤務開始時から最低31日間以上働くことがあるということ
- 1週間に20時間以上働いていること
- 学生でないこと(例外あり)
上記の条件に該当する従業員は雇用保険に加入し、保険料を支払う必要があります。
雇用保険の保険料は、雇用者と従業員の両方が負担する仕組みとなっています。
これらに該当する従業員を雇用した場合、事業規模に関係なく雇用保険への加入および保険料の支払いが求められます。
フリーランス美容師本人は雇用保険に加入できない
フリーランス美容師は原則として雇用保険に加入することはできません。
雇用保険は被雇用者を保護することを目的とした制度であるため、個人事業主であるフリーランス美容師は対象外とされます。
フリーランス美容師と同居する親族も原則として雇用保険に加入することはできません。 (親族が他の企業と雇用関係にある場合は、親族の勤務先の雇用保険に扶養扱いで加入することができます)同居する親族に業務を委託し、事実上の雇用関係が発生する場合は、条件を満たせば雇用保険に加入することができる場合もあります。
フリーランス美容師本人が雇用保険に加入できるケースもある
フリーランス美容師であっても、自らの事業以外で企業に正社員として雇われている場合は、雇用保険に加入できるケースがあります。
ただし、雇用保険に加入するためには週20時間以上の労働が条件とされています。
フリーランス美容師としての本業以外でダブルワークを行い、上記の労働時間を満たすことは、相当な労働負荷です。体調不良でダブルワークを行うと、本業がおろそかになるだけでなく、当面のリスクも考えられるため、ダブルワークを検討する際は慎重に考えることをオススメします。
フリーランス美容師でもスタッフを雇用したら雇用保険の加入が必要
フリーランス美容師の場合でも、スタッフを雇用する際には事業者として雇用保険に加入する必要があります。
雇用保険は、失業時の失業手当や、再就職を支援するための教育訓練給付金などが支給されます。
雇用保険は、法人である株式会社だけでなく、フリーランス美容師であっても労働者としてスタッフを一人でも雇用する場合は加入が必要です。
雇用保険は先述した特定の条件を満たす被雇用者を対象とし、以下のような条件を満たさない人は対象外となります。
- 週20時間未満の短時間労働者
- 法人代表
- 同居する親族
従業員を雇用する場合、その従業員が雇用保険の対象となるかどうかを確認しておくことが重要です。
美容室退職後にフリーランス美容師になる場合の失業手当は?
基本的に、美容室を退職したあとにフリーランス美容師として働く場合、失業手当を受け取ることはできません。
原則として失業手当は受給不可能
美容室を退職後にフリーランス美容師となる場合は、原則として失業手当を受け取ることはできません。会社を退職後にフリーランス美容師として働く場合は、失業状態や求職者として認められず失業手当の受給対象外となります。
特定の条件で失業保険を支給できる場合
ただし、フリーランスでも特定の条件を満たした場合、失業保険を受け取ることが可能な場合があります。
具体的な条件は以下の通りです。
- フリーランスになる2年以内に12ヶ月以上の就労期間がある
- 雇用保険の待機期間後に事業を開始
- 雇用保険の給付制限を受けて1ヶ月以上経過している
雇用保険では、離職票の提出と求職の申し込みを行ってから7日間を待機期間と定義しています。
失業手当はこの待機期間後に支給されますが、待機期間内に事業を開始すると失業手当は受給できません。
また、会社を自己都合で退職した場合は、待機期間後に2ヶ月間の給付制限期間が発生し、この給付制限期間を受けて1ヶ月以上経過する必要もあります。
フリーランス美容師として働こうとしている人で、失業手当を受け取りたいと考えている場合は、事業開始日が上記の条件に該当しないよう注意が必要です。
雇用保険の代わりとなるフリーランス向け補償制度
ここでは、雇用保険の代わりになるフリーランス向けの補償制度について解説していきます。
これまで解説してきたように、フリーランス美容師本人が雇用保険に加入することや失業手当を受けることは非常に困難です。
しかし、フリーランス美容師のために以下のような補償制度が提供されており、条件を満たせばこれらを利用することが可能です。
- 小規模企業共済
- 賠償責任保険
- 所得補償制度
会社員と違って補償が少ないフリーランス美容師にとって、雇用保険の代わりとなるこれらの補償制度を活用することもオススメです。
小規模企業共済
小規模企業共済は、中小企業の経営者や個人事業主向けの積立型の退職金制度です。
掛金の額に応じて、退職後に給付が受け取れます。
特にフリーランス美容師にとっては、確定申告時に支払った掛金全額を課税対象所得から控除できるため、節税効果が大きなメリットとなります。
開業届を提出しているフリーランス美容師であれば基本的に加入でき、フリーランス美容師として退職時や廃業時に補償を求める場合には、加入しておくことがお勧めです。
退職や廃業時の給付だけでなく、掛金範囲内での事業資金貸付制度も提供されており、事業資金の確保にも役立ちます。
賠償責任保険
賠償責任保険は、フリーランス協会が提供する保険制度です。
この保険は、業務中の物損・人身事故だけでなく、情報漏洩、納品物の欠陥、著作権侵害、納期遅延など、フリーランス特有の賠償リスクをカバーします。
損保ジャパンなど大手保険会社4社による共同保険であり、保険利用時のサポートが充実しているため安心して利用することができます。
また、保険対象はフリーランス本人だけでなく、発注元も含まれており、これにより発注元は安心して業務を発注することができるというメリットがあります。
賠償責任保険を利用するためには、フリーランス協会への会員登録が必要です。
興味がある方は、会員登録を検討してください。
所得補償制度
所得補償制度はフリーランス協会が運営する、フリーランス美容師が働けなくなった際の休業補償制度です。
具体的な補償内容としては、病気や怪我で働けなくなった際に保険金が支払われる「所得保障プラン」と、入院や通院費用を補償する「傷害補償プラン」が提供されています。
フリーランスは、働いた報酬が全て自分のものとなるため、努力次第で会社員よりも高収入を得ることが可能という大きな利点があります。
しかし、病気や不慮の事故などで働けなくなった場合、収入が途絶えるというデメリットも存在します。
病気や不慮の事故は誰にでも起こり得るものであるため、万が一の事態に備えてこの制度に加入することをお勧めします。
まとめ
- 雇用保険は被雇用者を保護する制度であるため、フリーランス美容師本人は原則として加入できない
- フリーランス美容師は失業状態や求職者として認められないため、失業手当を受給することはできない
- フリーランス美容師でもスタッフを雇用した場合は、事業者として雇用保険への加入が必要
フリーランス美容師は原則として雇用保険に加入できません。
また、正社員として雇用されていた美容室を退職後にフリーランス美容師となる場合、失業状態とは見なされないため、基本的に失業手当は受給できません。
一定の条件を満たせば、フリーランス美容師でも失業手当を受給できますが、その際は事業を開始する日に注意が必要です。
基本的に雇用保険の加入や失業手当の受給はフリーランス美容師にとって非常にハードルが高いと言えるでしょう。
ですが「人生はある日突然、なにがあるか分かりません」万が一のときの補償を準備しておきたい場合は、フリーランス美容師向けの補償制度を活用することをオススメします。