
美容師1年目が「きつい…」と感じる理由と、無理せず続けるための考え方

「思っていたよりもずっと大変かも…」
美容師として働き始めてしばらく経ったアシスタントさんから、こんな声をよく耳にします。
特に、上京して一人暮らしをしながら働く新卒アシスタントの方にとっては、仕事だけでなく生活面での負担も大きく、1年目はまさに試練の連続かもしれません。
今回は、そんな1年目の美容師が「きつい」と感じやすい理由や、無理せず前向きにキャリアを考えるためのヒントを、キャリアアドバイザーの視点からお伝えします。
- なぜ「美容師1年目」はこんなにきついのか?
- 「辞めたい」と感じたときに見直してほしいこと
- 続けるか、環境を変えるか。その判断基準とは
- 「あなたに合うサロン」は、きっとどこかにある
- まとめ|「辞めたい」と感じたら、一度立ち止まってみて
なぜ「美容師1年目」はこんなにきついのか?

1年目がつらく感じるのは、単なる“慣れ”の問題ではありません。以下の3つの側面から、その理由を整理してみましょう。
1. 生活環境の変化と経済的不安
上京して一人暮らしを始めた方に多く見られるのが、「生活費と給料のバランスが合わない」という悩みです。
- 手取りが15〜17万円前後
- 家賃:6〜9万円
- 光熱費・通信費・食費:4〜6万円
実家の支援がない場合、生活がカツカツになるのは当然です。
「美容師の給料ってこんなに安いの?」という疑問が浮かぶのも自然なことです。
2. 心身の疲労と「評価されない」つらさ
長時間の立ち仕事、手荒れや腰痛、睡眠不足…。慣れない業務の中で、心身ともに疲れが溜まりやすいのが1年目です。
さらに、アシスタント業務は「当たり前にできて当然」とされがち。頑張ってもなかなか評価されず「自分は向いてないのかも…」と感じてしまう方も少なくありません。
3. 孤独感と将来への不安

同年代の友人が別の業界で早くも休日を楽しんでいる中、自分は休みも少なく、会話する相手も職場だけ。そんな環境では、ふとした瞬間に「何のために頑張ってるんだろう」と虚しくなることもあります。
「辞めたい」と感じたときに見直してほしいこと

1年目で「辞めたい」「向いてない」と思うことは珍しいことではありません。
ただし、それが本当に「美容師という仕事が合わないから」なのか「今の環境が合っていないだけ」なのかを整理してみることが大切です。
よくある退職理由とその背景
- 給料が生活に見合っていない:一人暮らし+手取り15万円では精神的にも限界が来やすい
- 先輩との関係がうまくいかない:人間関係のストレスは1年目の最大の離職要因
- 成長を実感できない:教育体制が不十分な環境だと、先が見えず不安になりやすい
こうした悩みは、「業界全体の問題」と見えるかもしれませんが、実際にはサロンごとの違いが大きく影響しています。
続けるか、環境を変えるか。その判断基準とは

「もう少し頑張るべきか、それとも違う環境に移るべきか」迷ったときは、以下の視点から考えてみることを参考にしてみてください。
自分の“頑張り”に見合ったリターンがあるか?

美容師1年目は、とにかく“覚える・動く・耐える”の連続です。
ですが、その頑張りに対して「何かしらの手応え」が返ってきているかどうかは、実はとても重要です。
たとえば──
- 先輩から「最近成長したね」と声をかけてもらえた
- お客様から「シャンプー気持ちよかったよ」と言ってもらえた
- 任せてもらえる仕事が増えた
こうした“小さなリターン”が得られていれば、人は「もう少し頑張ろう」と思えるものです。
逆に、どれだけ頑張っても注意ばかりで、誰からも評価されない環境にいると、自己肯定感がどんどん削られてしまいます。
努力がまったく認識されない職場にいるなら、それはあなたが未熟なのではなく、環境の側に課題がある可能性もあります。
成長を実感できているか?

「前よりもできることが増えた」「苦手だったことが少し得意になった」
そんな実感があると、たとえ大変でもモチベーションは保ちやすくなります。
特に1年目は、カリキュラムや技術習得スケジュールが明確なサロンであれば「今、自分は何段階目にいるのか」が可視化され、成長を感じやすいはずです。
反対に「いつになったら次に進めるのか分からない」「誰も教えてくれない」環境では、成長が止まっているように感じてしまうでしょう。
数ヶ月前の自分と比べて、少しでも前進している実感が持てているか。
それが、キャリアを長く続けるための大きな支えになります。
精神的にギリギリになっていないか?

朝が来るのがつらい、帰宅しても心が休まらない、休日なのに何もする気が起きない──
そんな状態が続いているなら要注意で、心が疲れていると肉体的な回復にも影響が出てしまいます。
「美容師だからきつくて当たり前」と自分に言い聞かせてしまいがちですが、常にギリギリの状態で働き続けるのは危険です。
休日に“回復できるかどうか”は、ひとつの大切な目安です。
仕事は大変でも、休日にリセットできているなら、まだ余力はあるはず。
ですが、寝ても疲れが取れない、ずっと不安感や焦りに追われている状態が続くなら、それは黄色信号です。
あなたが壊れてしまってからでは、元に戻るまでに長い時間がかかってしまいます。
無理を続けるよりも「環境を変える」という選択肢を
上記3つの問いに、すべて「NO」と感じるなら。
それは「あなたが甘い」のではなく、頑張る方向が間違った場所に向かっているだけかもしれません。
仕事を辞めることが正解とは限りませんが「環境を変えてみる」ことは、決して逃げではありません。
むしろそれは、自分の未来を真剣に考えている証拠です。
「あなたに合うサロン」は、きっとどこかにある

美容師という仕事は、サロンの風土や教育方針、先輩との相性によって大きく印象が変わります。
- 教育スケジュールが明確で、計画的にデビューを目指せる
- 個々のライフスタイルに配慮してくれる
- 一人暮らしのスタッフに住宅補助や相談制度がある
このようなサロンも、実際に数多く存在します。
「美容師を辞める」のではなく「美容師を続けられる環境を探す」ことも、ひとつの選択肢です。
今のあなたが“頑張れていない”のではなく、その頑張りを活かしきれていない職場にいるだけかもしれません。
まとめ|「辞めたい」と感じたら、一度立ち止まってみて

美容師1年目は、決して甘い時期ではありません。
でも「つらい」と感じるのは、本気で向き合っている証拠でもあります。
大切なのは「今のつらさがどこから来ているのか」を見つめること。
無理をして続けることが正解ではありませんし、すぐに辞めることが必ずしも悪い選択でもありません。
自分の気持ちと向き合いながら、“働きやすい場所”を選ぶこと。
それが、長く美容師として働き続けるための第一歩になるはずです。
今より少しだけ、笑顔で働ける日が増えるように。応援しています。

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